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3.12.2018

福島事故の今後と核産業の未来

福島事故の終息は、全然先が見えていません。NHKの番組などでは、東電の最初の計画ー40年で終息ーがいまだに主張されているようですが、とても無理でしょう。スリーマイル島原発事故では、燃料棒が半分ほど融けたが、格納容器そのものは、なんとか残っていたので、熔融デブリをなんとか取り出すことができたが、20年かかった。福島では、3個の原子炉で、燃料棒その他全て融け、格納容器の底を融かして、下に落ち、その上、最後のコンクートもすくなくとも一部は融かして、燃料デブリはそこに埋没、もしかしたらすでにそれをも通過し始めているかも。こうした燃料デブリを取り出すことが果たして可能なのか、さえまだ見当もついていない。
 事故そして事故後も放出されている放射性物質からでる放射線の影響は、すでに福島の子供達の甲状腺ガンの多発(通常の30`50倍)だけでも明らかなのだが、政府側は、様々な屁理屈をつけて、放射能との関連を否定し続けている。これは、こうした関連を政府が認めたら、原子力産業そのものを否定しなければならないから。小児甲状腺ガンばかりでなく様々な健康障害がすでに起っているのだ(vsa9.blogspot.caに投稿した私の報告がいろいろありますので、ごらんください)が、政府も報道機関も取り上げることすらしない。全ての核からの影響による被害(健康障害や死亡)は、今まで全世界では、おそらく億の単位にちかい数に上るでしょう。そして、この被害は、今後もつづくのです。
 これは全世界で共通の状況です。それは、やはり、原爆、原発を含めた全核産業の進退がかかっているからです。私が主張する「放射能は生命と相容れない」という根本原理が、健康障害として、世界中に現れているのだが、そうした現象と放射能の因果関係を権力側が認めたら、核産業は全て停止、廃棄しなければならない。そしてこの問題は廃棄することを決定しても、地上から核廃棄物(放射性物質)を安全に処理することが本当にできるのかどうかさえ、人類はまだわかっていないのです。

米朝会談の行方

朝鮮戦争後のアメリカの態度には、軍事的に朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)を制圧して、朝鮮半島を支配下におくことによって、中国・ロシア対抗への橋頭堡とするというネオコンの考えが浸透していたのでしょう。が、こうした政治・外交などに深く関わったことのない人物であるトランプ氏が、中間選挙に向けて、国民、世界に何らかの自分の成果を示すことができる、と判断したのではないかと思います。これが失敗したら、軍事力で成果をあげることに直ぐ向かうでしょうが。いずれにしても、アメリカの政治・外交の主流となっているネオコンなどとは無関係な人のやり方です。これが成功して、南北が統一された場合、朝鮮半島がアメリカの支配下に入れられるか、アメリカ従属からぬけだせるのか。そして抜け出せれば、中国・ロシアとの連係ができ、アメリカの一極支配の構造がこの東アジアで解消されるのか。ただ、トランプの動きを主流のネオコンが黙って見ているとは考えられないので、どうなるか。
 DPRKのほうとしては、アメリカの脅威が本当になくなるならば、核開発などというカネがかかるだけで人民になんの利益もないものにこだわる必要はないと判断するでしょう。

3.06.2018

2018年:新たな核冷戦時代の始まり

以下は、日刊ベリタ2018.03.03掲載記事の転載です。

2018年:新たな核冷戦時代の始まり

1945年アメリカは原爆を完成し、広島・長崎に投下して、核時代が幕開けした。アメリカはすでに共産主義という彼等にとっては、共存不可能な政治・経済体制を撲滅するために、完成した核兵器を使用する計画を立て、それをさらに強烈なモノにするため、核兵器の改良に力を注ぎ始めた。ソ連は、その動きに呼応して、スパイ行為その他を使って、核兵器でアメリカに対応できるように、必死に核兵器の開発に努力した。そして1949年に最初の核爆発を成功させた。こうした、動きに大国が呼応し、イギリス、フランス、そしてついに中国も核兵器製造に成功した。ここに、欧米諸国対共産圏の対立という冷戦時代が始まった。この場合、核兵器は抑止力として機能した。冷戦時代は、局所的戦闘が大部分で、その場面では核は使用されなかった。実際は、1950年に始まった朝鮮戦争で、アメリカは、核兵器の使用を検討はしたのだが。
さて、1990年にソ連が解体し、共産主義的体制が崩壊し、一部(中国、北朝鮮、キューバなど)は残ったとはいえ、一応大国間での対立は解消したかに見えた(当時はまだ、中国の影響力は今ほど大きくなかった)。そして、その後欧米諸国は、中東などの石油利権獲得や、欧米に対立する政体をもつ、特に中東諸国を民主化すると称し、それらの政体を崩壊し始めた(イラク、リビア)。そして現在はシリア。
ところが、中国が台頭し始め、ロシアも共産体制崩壊から立ち直り政治・経済力を強めはじめた。この2国の前線に北朝鮮、いや正式名称は朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が位置する。アメリカは朝鮮戦争を平和裏に終わらせずに、停戦状態のままでいる。そしていずれは、南北朝鮮ともアメリカ従属に持っていきたいのであろう。それは、DPRKが地理的に中国、ロシアへの最前線を確保することになるから。DPRKは、平和条約が成立して、アメリカからの脅威がなくなることを切望してきたが、アメリカ側は、言を左右にして、応じていない。リビア、イラクなどの例を見てきたDPRKは、アメリカになびかない国は、アメリカからの介入で破壊されかねないことを懸念して、その抑止力として核開発に踏み切った。
しかし、それ以前から、アメリカはロシア・中国への包囲網を整え始めており、ヨーロッパ各国に、NATO組織を通じて、核兵器を配備してきたのです(1)。このロシア敵視、ロシア嫌悪という感情は、どうもアメリカ、ヨーロッパ各国に、心情的にあるようで、それにネオコンなる考えが、アメリカの世界覇権を意図し、大国ロシア崩壊を目ざさざるをえない心境のようで、トランプ大統領の選出に絡んで、ロシア疑惑をつくり出し、懸命にロシアを悪者に仕立てる画策をしている。
さて、核兵器は、広島・長崎ものから進化して、現在では広島原爆の数百倍から1000倍という強力なもの(水爆と原爆の合体)になっている。この強烈な原爆は、あまりにも強烈すぎて、各国は、その使用を躊躇しています。それは現在、抑止力に寄与しています。
そこで、今年になってアメリカ大統領は、核兵器を軽量(低能力)化する方策を発表した。このような兵器は、通常兵器より少し強いだけで、使い易いだろうということのようです。すなわち、核兵器が使い易くなり、例えば、DPRKへの小規模な攻撃に使う躊躇が減るというわけです。このことを一瞬にして察したロシア側は、今度は、新たな核弾道ミサイルを開発すると直ちに発表。核兵器をより使い易い形で、攻撃に備えるぞという意志表示でしょう。これは、核兵器を使い易くした上での、冷戦の始まりです。冷戦で経過すればよいのですが、熱戦になる可能性が、増えてきたように思われます。
昨年、国連加盟国の多数で作り上げた「核兵器禁止条約」の実効性が、改めて問われることになりました。人類は、大変危険な状況にのめり込んでしまいました。まずはDPRK問題:アメリカ側が譲歩して現状のままで対話に入る。そして、DPRKの懸念が充分に晴れ、和平条約が締結されるならば、彼等は自然に核放棄に動いていくのではないでしょうか。

これが成功するとすれば、その過程で、アメリカの核兵器への態度が変化するものと思われます。いやアメリカ側の意識に変化がなければ核の問題は解決しないでしょう。